実行委員長挨拶

 この度、メタルバイオサイエンス研究会2023を、2023年10月5日(木)と6日(金)の2日間、岐阜市民会館にて開催することとなりました。ここ3年間は、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を鑑みた開催でした。しかしようやく流行も落ち着き、5月には感染症法上の分類も2類相当から5類に引き下げられましたので、感染流行前の形態に戻した完全オンサイトで研究会を開催いたします。また今回の研究会では、生命金属研究の情報交換と研究者交流の場として4年ぶりの懇親会も実施する予定です。

 本研究会は1996年にメタロチオネイン研究者が集う「メタロチオネイン研究会」として発足しました。その後、名称や形態を変化させ、2013年に現在の名称である「メタルバイオサイエンス研究会」となり、幅広い領域の生体金属研究者の交流の場として発展してきました。2017年には日本毒性学会に「生体金属部会」が発足し、同部会の主催する学術集会として開催されています。私は大阪大学の助手時代に、同大学の銀杏会館で開催されました第2回目の研究会「メタロチオネイン’99」の事務局スタッフとして運営のお手伝いをさせていただきました。あれから24年が経ちましたが、こうして再び私が実行委員長として研究会を運営させていただくことを大変感慨深く思います。

 今回の研究会では、織田信長公が天下統一を目指した拠点である岐阜での開催にちなみ、「理想を掲げ、信念をもって生体金属研究をせよ!」をテーマとして掲げました。生体金属研究は、生命の起源や進化の解明、医薬品の開発や診断・治療技術の向上、産業技術の改善と新たな材料の開発、またそれに伴う環境汚染や健康影響の評価およびその解決策の開発など多岐に渡る非常に重要な研究分野です。このような生体金属研究を行っている研究者が高い理想と信念を持って岐阜の地に集い、活発な議論が交わされることを大いに期待しています。

 会場の岐阜市民会館は、岐阜城の天守閣がある金華山の麓に位置しており、2km圏内の長良川温泉では1300年以上の歴史と伝統を持つ長良川鵜飼が行われています。戦国時代の岐阜を題材とした司馬遼太郎の歴史小説「国盗り物語」では、「美濃を制する者は天下を制す」というフレーズが有名ですが、このような文化や歴史情緒溢れる地で開催される本研究会が、諸先生方の研究難題を制する契機となり、生体金属研究分野の発展に貢献できることを祈願しています。

 多数の皆様のご参加とご発表をお待ちしております。

メタルバイオサイエンス研究会2023

実行委員長 中西 剛

(岐阜薬科大学)